さて、この講座も早いもので8回目です。
ここからは、スーツやジャケットのディティールには、
すべて成り立ちと理由があるというお話をしたいと思います。
既製品でもオーダースーツでも
一般的にビジネスに使用するジャケットの袖口には
必ずボタンが2~5個付いていると思います。
なぜ、ボタンが付いているのか考えたことがある人は少ないかと思います。
アクセントのための飾りだと思っている方が多いと思いますが、
実際のところはちゃんとした理由があるのです。
ここでも又「シャツは肌着」のお話が登場します。
前々回にお話したとおり、
肌着であるシャツを見せないようにジャケットを着用するわけですが、
そんな時どうしても袖口が汚れそうな作業を余儀なくされる場合があるかと思います。
基本的にはジャケットは脱げないのですから、腕まくりをするわけです。
そんな時に袖口のボタンを開ければ、
袖口が開き腕まくりがしやすくなります。
そういった理由からジャケットの袖口のボタンは
開閉できるのが当たり前の仕様なのです。

このように袖口のボタンが開閉できる仕様を
「本切羽(ほんせっぱ)」と言います。
もともとスーツはオーダーメイドで作成されていたため、
その人に合わせた袖丈で作成するのが当たり前だったので、
本切羽仕様は当たり前でした。
しかし、現在ではスーツは既製品が中心ですので、
本切羽のものはほとんど見られません。
なぜなら、腕の長い人や短い人などに対応するため、
既製品には袖丈の調整がついてまわります。
もし既製品のジャケットを本切羽仕様にすると、
袖口でのお直しができなくなってしまいます。
なのでほとんどの既製品の袖口は本切羽ではないのです。
そんな袖口に見慣れてしまっているので、
袖のボタンは飾りだと思っている方が多いんですね。
